柿酢の作り方
今、静かなブーム
ブドウで作られた酢のことを「ワインビネガー」と言いますよね? それと同じ方法で、柿でも酢が作れることをご存知でしたか? それを「柿酢(かきす)」と言います。近頃NHKのテレビ番組で、柿の健康的な効能について放送されたためか、この柿酢にも注目が集まっているようです。
ここでご紹介する方法では自然の菌で発酵させるので、材料は柿だけ。特別な機械や薬品など何も要りません。そのため一般家庭でも簡単に作れます。
材料
柿
甘柿でも渋柿でも構いませんが、必ず完熟している無農薬の物を使います。ご自分の家の庭などになっていればいいですが、収穫しないで木に付いたままになっている柿がご近所にあれば、その持ち主の方に交渉してわけてもらってもいいでしょう。また、時期が来ればネット通販でも手に入ります。「無農薬 完熟 柿」で検索すると、そのようなサイトがヒットすると思います。
皮の表面にこのような黒い傷があっても全く問題ありませんが、皮が破れているとカビが生えることがあるので、そこは切り取ります。
発酵の仕組み
柿の皮に付いている酵母菌でまず糖分がアルコールになり、それが酢酸菌によって酢になるという二段構えの発酵です。そのため皮ごと使うので、無農薬でなければならないというわけです。
道具
- 仕込むための広口ガラス瓶か焼き物の瓶
- 竹べらか、すりこ木
- オタマ
- ステンレスのザル
- ザルが乗る大きさの鍋
- 漏斗(ろうと)か急須(きゅうす)
- 保存するための一升瓶(透明ではなく茶色がいい)
作り方
- ヘタを取る
手入れをしていない無農薬の柿だと、ヘタに虫の死骸が付いていたりするので取り除きます。きれいなヘタなら付いたままでも構いません。
皮はむきません。鳥の糞などの汚れが気になるようなら軽く水洗いしてもいいですが、水分は乾燥させて完全に取り除きます。布などで拭くと、皮の表面に付いている有用な菌が落ちてしまうので。
- 柿を瓶に詰める
ヘタの方を下にして詰めます。上にするとヘタの切り口からカビが生えることがよくあるからです。
- 蓋をして保管する
ショウジョウバエというコバエが入るとウジ虫が湧いて、必要な菌を食べてしまい発酵が止まってしまいます。そのため、それが入らないように新聞紙のような紙で蓋をして、周囲をしっかりと紐でくくります。
必要な菌はガスを出したり呼吸したりするので、ビニールなどの通気性のない物で密閉してはいけません。
特別な温度管理はしなくていいですが、なるべく暖房のされていない屋内で保管します。ショウジョウバエは冬でも暖かい場所で生きていることがあるからです。
- 大まかに潰して掻き混ぜる
一日一回蓋を開け、柔らかくなっているものを大まかに潰して底の方から掻き混ぜます。このときハエが入らないように気を付けてください。
硬いものは数日もすれば自然に柔らかくなるので、それまで待ちます。
この程度までしておけば、あとは自然に潰れるので、もう毎日かき混ぜる必要はありません。
- 味見をする
瓶に詰めてから一ヵ月くらいしたら蓋を開けてみます。虫が湧いておらず、ヨーグルトやセメダインのような臭いがしてれば、発酵が順調に進んでいる証拠です。それなら汁をオタマですくって味見をします。ただし、発酵の途中でアルコールが発生するので、アルコールが飲めない人や飲んではいけない人は、これをしてはいけません。
甘味のある白ワインのような味がしていればまだ完成していません。
酢の味がしていれば完成です。
- 濾す
鍋の上にザルを置き、そこに柿を入れて濾します。
布で濾してもいいですが、最初からそれをすると布の目に柿の繊維が詰まってしまい、うまく濾せなくなります。
- 保存容器に詰める
漏斗か急須を使って、濾した酢を一升瓶に詰めて栓をします。発酵が完全に終わっていないと、ガスのために栓が飛ぶので、最初は斜めにして隙間を作っておき、発酵が終わったらしっかりと栓をします。発酵の時とは逆で、この段階では密閉します。そうしないと酢の気が抜けて水っぽくなるからです。
- 保存場所
市販の酢と同じく暗冷所で保存します。この酢自体に殺菌作用があるので、わざわざ殺菌したり冷蔵する必要はありません。
使い方
市販の穀物酢と同じような使い方が出来ます。酢の物、お寿司、マリネ、ドレッシング等々。
柿酢にはポリフェノールが豊富に含まれており、健康のために飲んでおられる方も少なくないようです。その場合は、一日におちょこ一杯程度が適量なようです。
上が濾した直後、下がその約1年後の柿酢です。熟成するとこのように色が濃くなります。
販売するために酢を醸造する場合
税務署と保健所の許可が必要になります。
もっと詳しく
私のサイトで紹介していますので、どうぞご覧下さい。
http://tkksi.web.fc2.com/kitchen/autumn/kakisu.htm