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アヴァンセリアンの写真の事例 苦情と顧客満足度シリーズ ビジネス

苦情の裏側にある本音を探り出し、顧客満足度の向上を図る方法の4回シリーズ記事の3番目となる。
 
過去2回の記事にリンクしておこう。
 
 
『苦情に隠された本音と建前を把握し、顧客満足度を向上させる方法』
http://ss0611.blog.fc2.com/blog-entry-935.html
 
 
『赤坂エクセルホテル東急の暖房の事例(苦情の裏側の本音と建前)』
http://ss0611.blog.fc2.com/blog-entry-988.html
 
 
さて、今回は、アヴァンセリアンという結婚式場の写真の事例で、苦情に隠された本音を解説する。
 
写真を撮影した場所は、チャペル内だ。ウェブサイトにチャペルの写真があるので、それを参照しながらだとわかりやすい。
 ↓
アヴァンセリアン公式サイト
http://avancer-lien.jp/
 

本音を言いにくいがために、建前のクレームとなる

 
結論から申し上げる。
 
お客様が本音のクレームを言いにくいがために、建前でクレームを言う事がある。
というか、むしろ、本音を言わず、建前のクレームをすることがほとんどだ。
 
その場合には、どんなに建前のクレームを解決しても、根本の原因を解決しない限り、顧客満足度向上にはつながらない。
建前のクレームばかりを解決し、根本の原因を放置すると、お客様は、より些細なクレームをするようになる。
 
したがって、お客様の本音を引き出し、根本を解決することが、顧客満足度向上につながる。
 
今回の事例では、いかにして、本音を引き出したかをご覧いただきたい。
事例は、私の知り合いの紹介ということで、一般的なお客様よりは、条件が良い。一般的なお客様の場合でも、よくお客様のお話を伺った上で、本音を引き出すように、水を向けることが肝心だ。
 

クレーム「こんなドレスではなかった」

 
昨年の秋の話だ。私の元カノから、事務所に電話があった。友人のウェディングドレスの写真を撮って欲しいという。実は、すでに式を終えて写真もあるんだけど、ちゃんと撮って欲しいと言う。とにかく写真を見て欲しいということだった。
っていうか、今になって、よく私のところに連絡をしてこれたなと思ったが、高橋さんのご指名という話だ。高橋さんのご指名なら、元カノも従わざるを得ない。高橋さんのご指名なら、私としても光栄だし、これを機会に、ご教授いただきたいこともあった。
高橋さんというのは、カメラマンだったのだが、もう御年だったので、撮影はしてなかった。元カノは、高橋さんか、そのお弟子さんに撮影してもらおうとしてたらしい。ところが、高橋さんに写真を見てもらったら、私をご指名との事だった。
高橋さんと私の関係は、師弟関係ではない。というか、私は高橋さんに、宴席で数回お会いしたことがあるぐらいだ。
ただ、元カノの話によると、高橋さんは、私の撮影見本を全部見たことがあり、撮影現場も何度ものぞいたことがあるそうだ。っていうか、元カノが彼女だった時代に手引きしたって話で、私は今になって初めて知った。
 
高橋さんは、端正な写真を撮る方で、衣装や容姿を生かしたポートレートは、素晴らしいの一言だった。私も写真を見て、ずいぶんと勉強させてもらった。いわゆる東京流と言うんだろうか。私の大阪流とは対称的だ。
 
さて、数日後、元カノの車に乗って、友人(Kさん)の新居に案内された。
Kさんが見せてくれた写真は、ウェディングドレスの新郎新婦の立ちポーズだ。
写真を見て、高橋さんが、私を指名した理由にピンと来た。すかさず、Kさんの表情を確認する。ただ、ここでは、あえて話さなかった。
 
Kさんの話を要約すると、『こんな感じのドレスじゃなかった。』となる。漠然としている。私は、手でドレスのライン(Aライン)を描きながら、「これ、Aラインっていう、こんな感じのドレスでしょ?」と言った。
撮影時の新郎新婦の間が接近しすぎている。それによって、Aラインが崩れてしまっている。さらに新郎の足によって、パニエかワイヤーが押されているので、反対側が膨らんで崩れている。パニエというのは、ドレスの中にある下着なのだが、ドレスのラインを調える役割を果たしている。ワイヤーもドレスのラインを調える役割だ。
Kさんは、もう少しトレーン(後ろの裾)も長かったという。とてもそのようには見えない。どうやらトレーンは、まとめてしまったらしい。ただ、これは、チャペルの祭壇上で撮影するという制約があるので、この写真だけでは、なんともいえない。
私は、現場の制約によって、できることとできないことを説明しながら、Kさんの様子をうかがった。
(アヴァンセリアン公式サイトhttp://avancer-lien.jp/をご覧いただきたい。おおよそチャペルと祭壇の広さは、お分かりいただけるだろう。)
新郎新婦をチャペルの祭壇に立たせている。2人の間が近すぎるのは、論外としても、トレーンについては、広げるスペースはありそうだ。だが、現場の状況を見てみないとなんとも言えない。アヴァンセリアンのウェブサイトの写真を見る限りでは、トレーンを広げるスペースはありそうだが、現場に入ると、制約がある場合もある。
新郎新婦の立ち位置を新郎側にずらせば、新婦のドレスを活かした写真にできるのだが、この写真では、ちょうど中央に立っている。チャペルをシンメトリーに撮影しようとしてしまったのだろう。アヴァンセリアンのサイトで、チャペルの祭壇をご覧いただければわかるが、シンメトリーなので、背景を優先しがちだ。もしかしたら、そういう決まりになっている可能性もある。
(これが、お客様本位ではなく、式場本位の発想だ。お客様本位なら、背景よりも、むしろ、お客様のウェディングドレスを綺麗に撮ることを優先する。顧客満足度を下げる一因だ。これについては、また機会があれば記事にする。)
 
こんなふうに説明したところで、元カノが口を挟む。高橋さんも同じ事を言っていた。そして、Kさんが式場で見た見本も、2人の立ち位置が近くて、ドレスのラインもトレーンも、こんな感じだったという話だ。
 
高橋さんは、手厳しい人だ。ドレスのラインを活かしていなかったら、落第にするだろう。ましてや、こんな風に崩れていたら、素人と言われてしまう。
まあ、私の見たところ、けしてレベルは高くはないが、こんなもんだ。ぎりぎり及第点ぐらいじゃないだろうか。
ぶっちゃけ、ドレスのラインやトレーンの長さごとに、その特徴を活かして撮影できるカメラマンは少ない。ドレスのラインごとの振り付け方法を、研修している会社は少ないからだ。長いトレーンをさばけるカメラマンはさらに少ない。だから、アヴァンセリアンの撮影技能がそんなに低いわけではない。
ドレスを活かした撮影ができるためには、それなりの養成期間が必要だ。ちゃんとした指導者のもとで、マンツーマンのOJT(On-the-Job Training)で、毎週10組平均で1~2年だ。組数が少ない式場では、一人前になるまでに、もっと時間がかかる。
それにしても、一番スタンダードなAラインぐらいは、まともに撮影したいところだ。
 
式場が示した見本どおりの写真なら、クレームをつけるような話じゃない。見本と明らかにかけ離れているなら、クレームだが、見本がそうだったという話なら、やむを得ない。見本に納得して注文したのだから、落ち度は注文した方にある。
回転寿司で、ちゃんと握ってないと文句をつけるようなものだ。
 
察するところ、スナップのカメラマンが、ついでに型物(スタジオでのポーズ写真)を撮影しているのだろう。スナップ写真は上手だ。スナップと型物は、蕎麦屋とうどん屋ぐらい、仕事が違う。道具こそ、だいたい同じだが、一つの店で、両方を提供しようとすると、クオリティが維持できなくなるのだ。だから、蕎麦が美味しい店は、蕎麦しかないし、うどんが美味しい店は、うどんしかない。
Kさんが言うには、同じ人が、スナップと型物を撮っていたのではないとのこと。
ただ、この撮影の癖は、普段はスナップを撮影しているカメラマンのものだ。それか、ちゃんとした型物の師匠がいないか。まあそれでも、スナップのカメラマンが型物もついでに撮影しちゃう式場もあるので、それに比べたら、ちゃんとしている方だ。
 
さて話を戻す。このような技能レベルの式場なので、クレームをつけたとしても、高橋さんレベルのクオリティの高い写真を撮ってもらう事は、できないだろう。そばもうどんもやってるような店に、手打ち蕎麦専門店のクオリティを求めるようなものだ。
 
Kさんの事情と要望を、だいたい理解できたところで、新郎のK氏も、まもなく帰宅するとのことで、夕食にしましょうとなった。
 

話を終えて、気が抜けたすきに、核心を突く

 
Kさんが、立ち上がって、コーヒーカップを片付け、夕食の準備を始めようかというときに、私は声をかけた。まさしく刑事コロンボのタイミングだ。Kさんにとっては、完全に不意打ちだ。
 
私 「この写真、撮影するとき、緊張してました?」
 
「はい。」という返事とともに、Kさんの表情が変わった。そのままコーヒーカップを持って、キッチンに行ったのだが、様子が違うと気がついた元カノが、後に続いてキッチンに入った。あとから聞いた話だと、泣いていたらしい。ただ、いちおう申し上げておくが、Kさんの涙は、嬉し涙だ。理解者を得た感覚だという。
 
先ほど、この写真を初めて見たときに、高橋さんが私を指名した理由にピンと来たと申し上げた。それがこれだ。
 
高橋さん曰く、高橋さんよりも、私が唯一優れている点が、表情の良い写真を撮影することだという。
婚礼写真で、より良い顧客満足度を得るための三要素は次の通りだ。
 
1、良い表情
2、衣装などの特徴を活かす。
3、容姿の欠点をカバーするポージング
 
(詳しくは、当ブログの記事『結婚式のスタジオ写真を、綺麗に撮ってもらうための3つの質問(写真館の選び方)http://ss0611.blog.fc2.com/blog-entry-870.html』をご覧いただきたい。)
 
高橋さんは、Kさんの写真を見たときに、一番欠けているものは、表情だと思ったから、私を指名したのだろう。そうでなければ、ご自身の弟子を指名すれば良い。
高橋さんは、衣装の特徴も活かし、容姿の欠点も隠して、ものすごく端正な写真を撮る。しかし、表情を引き出すのは、苦手なようだ。生真面目な婚礼カメラマンには、こういう人が多い。その生真面目さが、表情を引き出すのに、あだとなる。
高橋さんが、私の撮影現場を、何度ものぞきにきていたのも、おそらく良い表情を引き出す私のテクニックを見に来ていたと思われる。残念ながら、今となっては、確認するすべはない。
 

どうして、建前のクレームになってしまったか

 
しばらくして、新郎のK氏も帰宅し、すき焼きの用意も整った。
すでに飲みながら食べながらの話なので、写真などは片付けている。
 
K氏に、これまでの話を、おおまかに説明したところで、表情の話に入った。
 
先ほどの写真では、笑顔は笑顔なんだが、いわゆる引きつった笑顔だ。
緊張して、笑顔になれる状況ではないのに、笑顔をしてくださいと言われて、できる笑顔だ。
笑筋という筋肉だけが、活動していると言われている。
 
やはり、Kさんは、写真の表情に納得していなかった。写真だけを見ると気づきにくいのだが、いま、食事をしながら、Kさんの表情を見ると、写真の表情が緊張していることに気づく。
 
あらためて、緊張していたか尋ねると、やはり緊張していたと言う。
また、撮影現場が、カメラマンを始め、スタッフとかの空気が張り詰めていて、余計に緊張させるような雰囲気だったと。
いちおう、『笑顔で!』とは言われたんだけど、そんな状況で、良い笑顔ができるわけないじゃんと。
 
そりゃあ、そうだ。Kさんは、本職のモデルさんじゃない。素人だ。
 
撮影する時に、良い表情を引き出すためには、堅い雰囲気を作ってしまってはいけない。緊張感で空気が張り詰めるなんて論外だ。
表情を引き出すテクニックは、営業とかナンパのテクニックに近いものがある。生真面目でお堅い人は苦手だ。
(ちなみに、細かいところまで目を届かせようとすると、どんどん細かいことに注意が行くために、撮影現場の雰囲気は、ますます張り詰めてしまう。悪循環のスパイラルだ。)
 
 

あらためての撮影を済ませて

 
1週間後、ドレスからスタジオからメイクに至るまで、元カノのお膳立てで、撮影した。
全部、K夫婦の要望どおりだ。元カノは、いろいろ人脈があるので、こういうときには、むちゃくちゃ強い。
 
ひととおり、撮影したところで、撮影したばかりの写真を見てもらうための時間をもうけた。
休憩に入ると、2人とも、ぜんぜん違いますねと言う。
 
何が違うかというと、声の掛け方とか、間合いの取り方がぜんぜん違うという。アヴァンセリアンでは、声の掛け方も硬く、マニュアルどおりに台詞を読んでるみたいだったのに対し、私の場合、雰囲気とか間合いも良くて、柔らかく表情を誘導してくれたという。
 
Kさんが、「ぜんぜん違う」と感じた、最大の理由は、すでに2人が、私と打ち解けていることだ。それに挙式当日と、撮影のためだけにドレスを着たのでは、心持ちも違う。
もちろん、写真に納まった表情も、ぜんぜん違って、生き生きとしている。
 
撮影時の声の掛け方については、以前に、高橋さんも、私の撮影をのぞいた後、寿司職人の握りと回転寿司ぐらい違うと、言っていたらしい。
 
そりゃあ、そうだ。
発声方法や呼吸方法などの基礎から、間合いのはかり方などのテクニックまで、トレーニングを積み重ねてるので、違ってあたりまえだ。トレーニングは、期間がかかる。声楽とか演劇で、腹の底から声を出すトレーニングを積み重ねた人は、上達が早いが、通常は、腹部や下半身の筋肉トレーニングから始めて、身体作りだけで1年かかる。これに営業とかナンパの、テクニックの習得が加わる。メンタルトレーニングもあるので、人によって、習得までに差があるが、ちゃんとした指導者のもとでトレーニングして1~3年だろう。
 
ドレスの雰囲気についても、ぜんぜん違うと言われた。
これも、当然だ。スタジオなので、ライトをコントロールして、質感・立体感を出している。白地に白のレースなど、ドレスの質感・立体感を出すためには、ちゃんとライティングする必要がある。
アヴァンセリアンのチャペルでの撮影だと、前後に挙式もあるだろうから、本格的なライティングを組むことは難しい。おそらく天井にバウンスしての撮影だろう。左右均等に光を当てているために、余計に平べったい写真になってしまっている。光が回りすぎる場所で、制約が多いが、私ならもっと綺麗に撮影できただろう。
 
ともかく、今回は事前に食事をともにするなど、好条件に恵まれたおかげで、良い表情を撮影することができ、2人とも満足してもらうことができた。
 

どうして、建前のクレームになってしまったか

 
後日、天香回味で薬膳火鍋をご馳走になった。
お礼にといただいた包みを開けると、どうみても女性用のバッグが入っている。
するとすかさず、元カノが、「わぁ~!あたし、コレ欲しかったのぉ~♪」
やられたと思ったが、すでに遅し、成り行き上、バッグは元カノにあげることになってしまった。さらに、カニも送ってくれるというので、なんとなくごまかされてしまった。
どうやら、元カノと私は、まだ付き合っていることになっていたらしい。と、気がついたのは、帰宅してからだ。
 
余談はさておき、火鍋を食べながら、どうして最初にドレスのことを話したのかを、たずねてみた。
話を要約すると、表情は、自分の表情で、自分の責任なので、クレームにならないと。表情が悪いとは、言いにくい。それで、結果として、他の事について、不満を言うことになった。
 
まあ、本音は言いにくいものだ。
 

建前のクレームに隠された本音を見抜くことで、顧客満足度の向上

 
今回は、わかりやすい事例をあげた。
このようなケースでは、不満を抱えたお客様が、言いにくい本音の代わりに、あらさがしをして、建前のクレームを言う。クレームを受ける側からすると、「こんな些細な事を」と、感じるようなクレームだ。
 
まあ、今回の場合、ドレスのラインが崩れてるとか、トレーンをまとめてしまったりとか、基本的なこともあるので、些細なことばかりでもないのだが。
 
さて、結論を繰り返す。
 
些細なクレームには、その裏側に、重大な本音が隠されていることがある。
この本音を解決しない限り、顧客満足度の向上には、つながらない。
 
逆に言えば、建前のクレームに隠された本音を引き出し、根本的に解決することで、顧客満足度を向上することができる。そして、些細なクレームも、なくなる。
 
次回の記事では、解決した事例を挙げる。
 
 
なお、今回の事例で、式場での撮影が行われたのは、アヴァンセリアンが、オープンして間もない頃だったようだ。そのため、声の掛け方とかもマニュアルどおりだったのだろう。ドレスを活かした振付が出来なかったのも、まだ慣れてなかったせいなのかもしれない。
いずれにしても、オープン直後は、スタッフの技能が追いついていないケースが多い。
まあ、これは、結婚式場に限らないが、サービス業では、オープン直後は、バタバタしていたり、スタッフの熟練度も低いものだ。今回、アヴァンセリアンの撮影の技能が低かった要因は、オープンして間もなかったことに尽きると思われる。
今では、すでに、オープンしてから時間も経ったこともあり、スタッフの技能も、一般的なレベルぐらいまでは、向上しているだろう。
 

しかし、重大な問題が…

 
しかし、重大な問題がある。
 
あのあと、カニは、送られてきた。もちろん、美味しくいただいた。
っていうか、私のギャラになるはずの分は、全部バッグに、化けてしまったのか?
それと、ドレスやスタジオなども、バッグとカニで済ませたのか?
 
あれから、元カノと連絡がとれないのは、言うまでもない。(T-T)
 
『甘え上手な美人には、気をつけた方が良い。』
 
今回の教訓だ。
 
 
なお、この記事は、ブログ『KARAと食彩スンヨン』の記事をFC2ノウハウ用にリライトしたものだ。
元記事は、次のURLをご参照いただきたい。
『アヴァンセリアン(結婚式場)の写真の事例(苦情に隠された本音)』http://ss0611.blog.fc2.com/blog-entry-994.html

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